基本賃金の引き上げ決定、225万人が対象

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最低賃金に当たる「基本賃金」の引き上げが決定しました。労働部は16日、基本賃金審議委員会の会議を開催しました。その結果、月給制の場合、現行の2万2000台湾元(日本円およそ7万9136円)から、2万3100台湾元(日本円およそ8万3044円)に引き上げられることが決定しました。引き上げ幅は5%です。また、時間給制の場合、現行の140台湾元(日本円およそ503円)が、150台湾元(日本円およそ539円)に引き上げられます。引き上げ幅は7.14%です。

 

これについて、労働部の許銘春・部長は、「今回の引き上げは、各分野を代表する委員が意見交換を繰り返して結論を出したもので、行政院主計総処が出した17項目の重要生活物資の物価上昇幅、経済成長率、労働生産性などの指数を参考にして算出した」と説明しています。

 

基本賃金の引き上げによって、賃金が引き上げられる人は、労働部の推算によると、月給制で台湾籍の136万3400人、外国人労働者43万8000人の合わせておよそ180万1400人です。また、時間給制の場合、およそ45万6000人です。両者を合わせると、全体で225万7400人に上ります。

 

会議の途中で、労働者団体代表の委員が一時退席し、政府が経営者側に偏っていると批判したことに対して、許・部長は、「基本賃金の調整は、労使双方の権益を考慮し、実務的で客観的な討論が行われなければならない。自分としては、どちらか一方に偏っているということはない」と表明しました。

  

許・部長は、「実際のところ、経済全体の客観的な指標は、労働者団体側が期待しているものとは隔たりがある。私たちは、必ず実務的でなければならない。というのも、基本賃金の調整では、労働者の生活を守る必要があり、同時に経済の持続的な成長も期待するからだ」と指摘しました。

 

また、韓国で今年、最低賃金が16.4%引き上げられたことについて、許・部長は、「これは特殊なケースだ。しかも、韓国政府は賃金に補助金を提供しており、こうしたことを計算すれば、ほぼ6%から7%の引き上げになる」と説明しました。

  

今回の基本賃金審議委員会の会議では、労働者団体代表の委員が一時退席し、政府が経営者側に偏っていると批判しました。労働者団体代表である全国産業総工会の荘爵安・理事長は、「月給制の基本賃金の引き上げ幅について、8%を主張していたが、今回決定した5%は要求幅と大きな差がある。このような結果は受け入れられない。今、政府は経営者側に偏っていると思う。この結果に対して、遺憾の意を表明する」と語りました。

 

一方、経営者団体代表である全国工業総会の何語・常務理事は、「労働者団体側は8%を要求したが、われわれは限度は4.55%だと言ってきた。労働者団体の代表が退席したため、許・部長が呼び戻して交渉した結果、5%に引き上げられた。満足ではないけれど、受け入れることはできる。これによって、人件費は390億台湾元(日本円およそ1397億円)増える見込みだ」と指摘しました。

 

また、何語・常務理事は、「今年上半期は景気がまずまずだったが、下半期の景気について経営者側は悲観的に見ている。人件費の引き上げは、企業の永続的な経営を考慮しなければならない。特に、台湾は中小企業が96%を占めており、基本賃金の引き上げは、サービス業、特に飲食、ホテル、小売、出版などに影響を与え、若い人たちの失業率の上昇、物価の上昇につながる」と語りました。